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『SITE ZERO』第1号 公刊

学会員の田中純氏が責任編集を務める人文・社会学雑誌『SITE ZERO』第1号が、9月15日に公刊されました。

『SITE ZERO』No.1「特集=〈病〉の思想/思想の〈病〉」
田中純・責任編集|柳澤田実・企画協力
大橋完太郎+門林岳史+宮崎裕助・編集協力
メディア・デザイン研究所・発行
B6変形|全480頁
ブックデザイン|秋山伸

目次構成(敬称略)

[特集]
柳澤田実|〈病〉の思想/思想の〈病〉
柳澤田実|「地続き」の思想 木村敏、中井久夫
木村敏|「心の病」ということ 「ことなり」としてのプシュケー
河本英夫|病と経験の可能性
十川幸司|分析家の自己/分析家としての自己システム論的精神分析の視点
斎藤環|隠喩的病因論と分裂性分析
柿本昭人|「脳トレ」ブーム支配は服従を享楽し、服従は支配を育む
小林昌廣|闘病記の文法 死を生きるために
橋本一径|〈病気〉の誕生、あるいは〈病人〉の消滅? 精神医学と写真
郷原佳以|美術館病、あるいは展示価値のアウラ
藤本壮介×田中純+柳澤田実|世界の成り立ちを考える建築 距離、予感、可能態

[鼎談/翻訳/連載]
岡崎乾二郎×中谷礼仁×田中純|制作の起源、批評の技術
稲賀繁美|静穏なる水面 蛇の蠢く闇 T・J・クラーク『死の光景』を読む
エティエンヌ・バリバール 柿並良佑・訳|「一神教」という言葉の起源と用法に関するノート
レオ・シュピッツァー 門林岳史・訳|アメリカの広告を大衆芸術として説明する
フランソワ・ジュリアン 大橋完太郎・訳|悪に関わるのか、あるいはネガティヴなものに関わるのか
南後由和|都市リテラシーの構築技法||コンスタントのニューバビ ロン×建築界(1)
榑沼範久|知覚と生||知覚教育の必要性

執筆者紹介

若手研究者フォーラム「イメージ(論)の臨界——イメージの氾濫を前にいかに思考するか」

2007年8月31日(金)、京都大学大学院人間・環境学研究棟において開催されたこのフォーラムは、科学研究費萌芽研究「美術史の脱構築と再構築」による主催のもと、当該研究の代表者である京都大学の岡田温司教授(本学会理事)の呼びかけによって催された(個別の発表題目は下記を参照のこと)。

単なる絵画論にとどまらず、図像や写真、あるいはテクストの詩的効果をも対象として包括しうる「イメージ論」が持つ膨大な射程は、今フォーラムにおける発表の多様性によっても示されたことではあるが、それでもなお、イメージ一般の考察に関わる共通因子を、こうした試みを継続することによって、今後一層の精度をもって探索し続ける必要がある。というのも、イメージとは、「美術」あるいは「歴史」という近代的な概念には恐らくは還元され得ないが故の多様性を担保した装置であって、「美術史の脱構築」としての「イメージ論」は、このことの認識を出発点として目論まれるより他はないからだ。その意味で、今フォーラムは、「イメージ論の氾濫」という現状を、「いかに(それを思考するか)?」という問いへと回折させようとする野心的な試みであったし、多くの「若手」によって営まれた創意あふれる各発表は、広義のイメージ論の未来を予言していた、とさえ言えるだろう。

なお、岡田氏によるこの試みは、年に2回ほどの頻度で来年度まで行われる予定である。関心ある方は今後の展開に注目されたい。

当日のパネラーおよび発表タイトルは以下の通り(*=本学会会員)

郷原佳以*(東京大学大学院・日本学術振興会特別研究員)
「「逆説的なオブジェ」としての文学言語――ブランショにおけるマラルメとジャコメッティ」

橋本一径*(東京大学大学院・日本学術振興会特別研究員)
「身体の亡霊たち――その弔いを目指して」

阿部真弓*(ボローニャ大学美術史専門課程)
「タイムラグ――イメージに包囲される絵画」

千葉雅也*(東京大学大学院・日本学術振興会特別研究員)
「ドゥルーズと可塑性」

鯖江秀樹*(京都大学大学院・日本学術振興会特別研究員)
「グラムシと強迫的な影としてのイメージ」

岡部宗吉*(京都大学大学院・博士後期課程)
「音・イメージ・言葉」

岡本源太(京都大学大学院・博士後期課程)
「時をともにする――イメージの経験と認識についての試論」

唄邦弘(神戸大学大学院・博士後期課程)
「バタイユにおける供犠的イメージ」

司会 多賀健太郎(大阪大学大学院・専任講師)