新刊紹介 |
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阿部 賢一(訳)
エマヌエル・フリンタ(著)/ヤン・ルカス(写真)『プラハ カフカの街』
成文社、2008年08月
1918年10月、チェコスロヴァキアは独立を宣言するとともに、かつて〈Prag〉とドイツ語で称されてきた都市は〈Praha〉とチェコ語で呼ばれるようになる。時を同じくして、ヤン・フスの銅像がその三年前に建立されたばかりのプラハの旧市街広場で、聖母マリア柱像がなぎ倒されている。ハプスブルク的なシンボルとして見なされたからである。
同時代の作家フランツ・カフカは、都市の記憶を単線化しようとするこのような試みをどのように感じていたか、何も語っていない。だが、モニュメントの不在それ自体が多くのメッセージを放っているように、作家の沈黙もまた解釈の対象となる可能性を秘めている。
本書は、チェコの批評家エマヌエル・フリンタがフランツ・カフカを語りながら、都市プラハの記憶を辿ろうとした一冊である。ヤン・ルカスによる写真および資料写真を多数収録。なお、表紙に使われた〈Praha〉の文字は、フランツ・カフカによる直筆である。(阿部賢一)
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