新刊紹介 | 編著/共著 | 『詩とイメージ マラルメ以降のテクストとイメージ』 |
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千葉文夫(ほか共著)
マリアンヌ・シモン=及川(編著)『詩とイメージ マラルメ以降のテクストとイメージ』
水声社、 2015年6月
編者を中心とする一連のテクストとイメージ研究の成果を問う論集であり、同じ編者による『絵を書く』の続編にあたる。昨年亡くなられたパリ第七大名誉教授アンヌ=マリー・クリスタンに捧げる旨の言葉が記されているが、執筆者の顔ぶれおよび内容の点で、この研究分野のパイオニアとして活躍した彼女の衣鉢を継ぐ一冊となっている。マラルメ以降と銘打たれていることから想像できるように、主として十九世紀後半から現代に到るフランスの詩人と画家がここではとりあげられている。マネとマラルメ、マラルメ以降の詩集の形態、ピエール・アルベール・ビロ、ジャン=フランソワ・ボリー、ゲラシム・ルカなどの視覚的実験、ランボーの『イリュミナシオン』に触発された挿絵の試み、挿絵画家あるいは肖像画家としてのピカソ、ヴァレリーと写真、プレヴェールと静止イメージなどの多様な主題をめぐる計十編の執筆者はフランス人と日本人が半々、それぞれの論考は丹念な資料調査を経て書かれており、画家と詩人の仕事のかかわりの多様性と深さについてあらためて教えてくれるところが多い。抹茶色の表紙カバーに始まる意匠の仔細も編者の気配りをしめす仕上がりとなっている。(千葉文夫)
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