新刊紹介 編著/共著 Bildwelten des Wissens:
Kunsthistorisches Jahrbuch für Bildkritik. Band 10.2, Bild - Ton – Rhythmus.

Yasuhiro Sakamoto, Reinhart Meyer-Kalkus, Vol. Eds.,
Bildwelten des Wissens: Kunsthistorisches Jahrbuch für Bildkritik. Band 10.2, Bild - Ton – Rhythmus.
De Gruyter (ehemalige Akademie Verlag), December, 2014

【シリーズ編集】ホルスト・ブレーデカンプ 他
【責任編集】坂本泰宏、ラインハルト・マイヤー=カルコス
【著者】ミシェル・シオン/シンシア・モス/カール・クラウスベルク/ヨハネス・フォン・ミュラー/マルヴィン・アルトナー/ペトラ・キップホフ=フォン・ヒューネ/坂本泰宏/オクサナ・ブルガコヴァ/ドロテ・シュミット/アレクサス・ルクチウス/ラインハルト・マイヤー=カルコス/ジャン・クロード=シュミット/石津智大/ステファニー・オルファル(掲載順)

美術史家ホルスト・ブレーデカンプを中心に、これまで19巻にわたってイメージ学研究(Bildwissenschaften)の学術誌として、技術的イメージを中心に新たな図像学のスタディの提案と紹介を試みてきた『知のイメージ世界』の一つの区切である20巻として刊行された本書では、イメージの枠を超えて音と図像の交叉点、その対象として《リズム》を中心に扱う。芸術家ステファン・フォン・ヒューネの言葉を借りれば、私たちが見るものの多くは同時に聴くことが出来る。その立場からすれば、視覚的なレベルを超え、聴覚的な要素をも含んだもの、それ自体をイメージと解するという言い回しの方がより適切かもしれない。

言うまでもなく図像と音の関係性を扱う領域・先行研究は決して少なくない。しかし、それらの多くは視覚(=図像)を中心に据えた、あるいは聴覚(=音)を中心に据えたものであり、そもそも音と図像の狭間に何があるのかという議論は作品分析においても、知覚分析においてもその複雑さも相まってか焦点とされることは少なかった。このようなテーマを統合的に扱うためには、知覚論/知覚研究、技術的なコード分析、そして従来の音楽・芸術学を基盤とした作品分析を体系的かつ並行して進めなければならず、そのどれをも疎かにしてはならない。

本誌ではまず、導入として作曲家であり映画評論家でもあるミシェル・シオンとのインタビューを通して、音と図像におけるリズムの問題を適切に読み解く方法を模索している。その上で具体的なスタディとして、ソシュールの言語理論とマグリットの絵画に基づく共感覚の考察、アイゼンシュタイン映画におけるシーケンス線図等を題材としたリズム表象の分解、ミシェル・ゴンドリーのミュージックビデオ分析、ベルント・アロイス・ツィンマーマンオペラにおける知覚空間としての舞台演出研究、芸術家ステファン・フォン・ヒューネによる時間/空間と知覚に根差す思想と音響彫刻作品のコード分析、パノフスキーによるリズム論考の再評価などを扱っている。

経験的に私たちは、<それ>をごく自然に知覚できることから、それを認識・支配しているという幻想を抱いてしまいがちである。しかし、そこで一歩踏みとどまって私たちの知覚を批判的に観察し、イメージを知覚の実験装置と捉え、そしてイメージと音の深淵に迫ることで、そこにもう一段解別の層が見えてくる。その層をイメージ学という学問の土壌で露見させ観察しようというのが本誌の狙いである。(坂本泰宏)

Yasuhiro Sakamoto, Reinhart Meyer-Kalkus, Vol. Eds.,Bildwelten des Wissens: Kunsthistorisches Jahrbuch für Bildkritik. Band 10.2, Bild - Ton – Rhythmus.De Gruyter (ehemalige Akademie Verlag), December, 2014