新刊紹介

河合祥一郎(訳)
シェイクスピア『新訳 マクベス』
角川書店、2009年01月

2010年2月に世田谷パブリックシアターで上演が予定されている野村萬斎演出・主演の「魔」(仮題)は、この『新訳マクベス』をもとにした翻案である。2008年10月にシアター・トラムにて『新訳マクベス』のドラマリーディングを行ったが、そのときの出演者(秋山菜津子ほか)が再結集する。乞うご期待。

この『新訳マクベス』の特長はリズムに凝った点にある。アマゾンに寄せられた二つのカスタマー・レビュー(ともに五つ星)では、次のように書いてくれている。

「韻を踏んだ訳の素晴らしさ…注訳つきです」と題したレビューでは、「声に出して読んでみるとそのリズムの面白さが癖になります。この本のもう一つの面白さは注訳がついている事。 マクベスとダンカン王の関係。そしてなんとマクベス夫人の子供が居てお乳を飲ませた話の由来がわかります。マクベスは色々な人の訳本を買っている自分ですが決定版とも言える名訳です。 おススメの一品」とある。

「日本語のリズムを特に重視」と題したレビューでは、「第1幕5場、マクベスの動揺をたしなめる夫人の科白を既訳と比べよう。「貴下(あなた)、貴下の面(かほ)は誰の目にも奇怪(ふしぎ)な事の書いてある書籍(ほん)のやうに見える。周囲(はた)を欺すには周囲とおんなじやうにしていらっしゃい」(逍遥)。「おお、そのお顔、まるで不思議なことが書いてある本のよう。世間を騙すには、世間と同じ顔色をなさらねば」(福田恒存)。「あなたの顔はまるで一冊の本、ただならぬことが書いてあると読まれてしまう。世間を欺くには世間と同じ顔をなさらなくては」(松岡和子)。「あなたのお顔は、まるでご本ね、不思議なことが書いてある。世間を欺くには、世間と同じ顔をしなければ」(河合訳)。河合訳は、短く引き締まった科白を連ねてゆくのが特徴。」とある。


(文責:河合祥一郎)