新刊紹介 | 編著、翻訳など | 『アダプテーションの理論』 |
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リンダ・ハッチオン(著)
『アダプテーションの理論』
片渕悦久(共訳)
晃洋書房、2012年4月
物語は尽きることがない。時代も文化もメディアも越え、小説、映画、演劇、アニメ、ゲームへとその形態を変化させ生き延びていく。リンダ・ハッチオンが本書でめざすのは、アダプテーションを原作の単なる反復ではなく、二次的でありつつ同時にオリジナルな要素が加わり、新たな文化的環境へと「順化」していく自律的かつ創造的な実践として再評価することである。本書はその過程を記述する理論書である。なかでもハッチオンのアダプテーション理論で特筆すべきは、「語る」、「見せる」、「参加する」という翻案者と受容者が作品と取り持つ3つの「関与形態」を基盤に、物語の変換過程と、変換された物語の受容の両方を考察していることである。「アダプテーションの時代に生きる」わたしたちにとって本書は、多様に作り変えられ、更新されつづける物語をメディア/ジャンル横断的にとらえ直す物語研究のありかたに多大なインパクトを与えてくれる一冊である。(片渕悦久)
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