新刊紹介 | 編著/共著 | Beyond Classical Narration: Transmedial and Unnatural Challenges |
---|
土山陽子(分担執筆)
Jan Alber, Per Krogh Hansen,(編)
Beyond Classical Narration: Transmedial and Unnatural Challenges
De Gruyter, June 2014
Narratologiaシリーズは、2008年よりドイツのWalter de Gruyter社から英・独語で刊行されているナラトロジー(物語論)の論文集で、本書Beyond Classical Narrationはその第42巻にあたる。http://www.degruyter.com/view/serial/19096
ナラトロジーは本来文学研究から発展した方法論であるが、その応用範囲は視覚文化、歴史叙述、医療、法学に至るまで幅広い。編者前書きによれば、古典的な構造主義のナラトロジーを内包しつつも、それとは異なるポスト・クラシカルな研究の主な特徴とは以下の三点である。散文の研究に限定されず、新たなメディアやジャンルに関心が開かれていること。また、ディスクール分析、認知研究、フェミニズム、ポストコロニアリズム、レトリック分析などの他の学問分野と相互に関係していること。物語の文法を発展させるのではなく、ナラトロジーを解釈のためのツールとして用いようと努めていること。
本書は、ポスト・クラシカル・ナラトロジーの二つの主要な流れである、メディア論的研究と不自然な物語(フィクションの中でも現実にはありえないナラティヴ)の研究を考察の対象とし、映画、長編コミック、コンピュータ・ゲーム、演劇、ジャーナリズム、インターネット上のヴィデオ・クリップ、ミュージカルなどを取り上げた、欧州の研究機関に所属する著者14名の論文を収録している。(土山陽子)
[↑ページの先頭へ]