新刊紹介 |
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森 貴史(訳)
ゲオルク・フォルスター『ゲオルク・フォルスターコレクション——自然・歴史・文化』
関西大学出版部、2008年03月
ゲオルク・フォルスター(1754-1794)は18世紀ドイツの啓蒙主義者、博物学者、哲学者にして、クックの第2次世界航海にも同行した著述家である。本書はかれの論文集(本邦初訳)で、『探検家クック』、『パンの木』、『美味しいものについて』、『自然の全体への瞥見』、『アメリカ北西海岸とその地の毛皮交易』、ほか3篇を収録している。
フォルスターの著作の現代的な意義を問うとすれば、かれの多岐にわたる文筆活動は18世紀後半のヨーロッパのアクチュアルな問題を正面からとりあつかっていること、それはすなわち、ひとりの多才な啓蒙主義者による同時代の証言だということにある。たとえば、『探検家クック』では、クックの世界航海を当時の知識人はどのように受容したのか、『パンの木』では、ヨーロッパ博物学が南太平洋諸島の植物の有用性をいかに認めようとしたか、『アメリカ北西海岸とその地の毛皮交易』では、交易のグローバル化がヨーロッパと非ヨーロッパ世界にどんな発展をもたらすのか、といった視点が胚胎されているのである。
いずれにしても、本書からは、18世紀後半のドイツを代表する啓蒙主義者の典型といえる人物の思想のエッセンスを読み取ることができるだろう。(森貴史)
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