新刊紹介 |
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佐藤 嘉幸・瀧本 雅志ほか(分担執筆)
小泉義之・鈴木泉・檜垣立哉(編)『ドゥルーズ/ガタリの現在』
平凡社、2008年01月
本書は、ドゥルーズの没後10年にあたる2005年から約一年間、編者たちによって組織された「ドゥルーズ/ガタリ研究会」の成果をまとめたものである。700頁を超える大作で、哲学史はもちろん、生物学・数学などの自然科学、精神医学、芸術、政治といった様々な視点による29の論考、さらに国内外の研究史に関する資料が収録されている。
ドゥルーズ/ガタリ再評価のための多彩なアプローチを見せてくれるアンソロジーだが、本書の特色としては、ドゥルーズ単独での思索からガタリとの共同作業への転換期(1970年前後)がとくに詳しく扱われているという点を強調しておきたい。たとえば美馬達哉の「構造主義の臨界――ドゥルーズ・ラカン・ガタリ」、檜垣立哉の「ドゥルーズ哲学の〈転回〉について」などの論考は、ガタリとの出会い以前/以後にまたがる思想変遷を、テクストに密着した読みによって明らかにしてくれる。これら歴史的研究を参照することで、佐藤嘉幸「器官なき身体から抵抗へ」など、ドゥルーズ/ガタリの政治哲学のアクチュアリティを扱った論考についても理解が深まるだろう(千葉雅也)
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