新刊紹介 | 編著/共著 | 『懐かしさは未来とともにやってくる 地域映像アーカイブの理論と実際』 |
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石田美紀、榎本千賀子、佐藤守弘(分担執筆)
原田健一、石井仁志(編著)
『懐かしさは未来とともにやってくる 地域映像アーカイブの理論と実際』
学文社、2013年9月
本書は、2008年度より始動した新潟大学人文社会・教育科学系地域映像アーカイブセンターを中心とする「地域映像アーカイブ」プロジェクトの成果をまとめた中間報告的な論集である。
地域に残された映像資料を保存、整理、公開、活用する一連の実践をつうじて、地域が生んだ映像文化と地域の過去を捉えなおし、地域の現在・未来へと活かすすべを探るこのプロジェクトは、プロジェクト内外の多様な立場の研究者、アーキビスト、キュレーターたちと連携してすすめられてきた。本書もまた、こうしたプロジェクトの特徴を反映し、「地域映像アーカイブ」プロジェクト内外の14名の著者による、アーカイブをめぐる様々な観点からの論考を収めている。
地域社会が直面する困難の打開策としての期待を集めつつ、映像アーカイブ構築は近年各地で盛んに試みられている。本書は、こうした地域レベルで試行されつつある映像アーカイブ構築の現状に根ざしたケース・スタディである。また同時に本書は、映像アーカイブ構築という実践に関わることで、専門も立場も異にする人々が協働して新たな知をひらかんとする、その挑戦の記録でもある。未だ端緒についたばかりの「地域映像アーカイブ」の営みにとって、そして各地で行われる映像アーカイブづくりや、学術連携の試みにとって、ひとつの足がかりとなることを目指して編まれた書籍である。(榎本千賀子)
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