新刊紹介 | 編著/共著 | 『アジアの女性身体はいかに描かれたか 視覚表象と戦争の記憶』 |
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北原恵(編著)
『アジアの女性身体はいかに描かれたか 視覚表象と戦争の記憶』
青弓社、2013年1月
アジア・太平洋戦争期、植民地の「アジア」の女性身体にはどのようなまなざしが注がれたのか。また、宗主国日本の女性美術家はそのとき何をしていたのか。本書は美術や映画における視覚表象と戦争の記憶をジェンダー、植民地主義、ナショナリズムの力学から描きだした論集である。
第一部では戦時中、満洲や中国中南部、南方にまで従軍し、国策協力の中心にいた長谷川春子や同時代の女性画家たちの足跡と作品表象を解明した。第二部では植民地の官展において従来帝国日本のイメージ形成に役立ったと理解されてきた「同質性」を指向する作品に着目し、同化か差異化かの議論の枠組みに新たな再考を迫る。植民地朝鮮で描かれたモダンガールと遊女はどのような意味を持つのか。フランス留学のあと画壇の中枢を占めた日本人男性画家たちは、なぜ「モデル」を描き、沖縄・朝鮮・台湾・中国の旅でどんな女性を描いたのか。絵画と映画のなかで「慰安婦」や「在日」(韓国・朝鮮人)はどのように描かれたのか、描かれなかったのか。その不在は何を意味するのか(第三部)。現代の女性美術家は暴力と戦争の現実にどのように介入しているのか。学芸員・大学教員・アーティストたちの共同研究の成果である。(北原恵)
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