新刊紹介 | 翻訳 | 『もし、シェイクスピアがスター・ウォーズを書いたら まこと新たなる希望なり』 |
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河合祥一郎(訳)
イアン・ドースチャー(著)、ウィリアム・シェイクスピア(原著)、ジョージ・ルーカス(原著)『もし、シェイクスピアがスター・ウォーズを書いたら まこと新たなる希望なり』
講談社、2015年12月
映画『スター・ウォーズ』とシェイクスピアの世界には驚くほど共通点が多いと気づいたアメリカ人が、『スター・ウォーズ』のストーリーをシェイクスピア作品からの引用も折り込みながらアイアンビック・ペンタミターで綴ったシリーズ。『まこと新たなる希望なり』に続く第二作であり、第三作『ジェダイ、帰還せり』は四月二六日発売。
『帝国の逆襲』において、ルークが氷の惑星でワンパに襲われて倒れたとき、オビ=ワンが夢枕に立って「ダゴバ星へ行ってヨーダに会え」と告げるのは、シェイクスピアのロマンス劇『ペリクリーズ』の主人公の夢にダイアナが現れて、ダイアナの神殿へ行けと告げ、そこで主人公が大切な人と出会う展開とそっくりだ。そのほか多くの点で驚くほどの類似が観られる。
この類似は偶然ではない。ジョージ・ルーカスは、ジョゼフ・キャンベル著『千の顔を持つ英雄』を読み、シェイクスピアを含む伝説や神話の構造を利用しながら映画を作ったからだ。
構造のみならず精神も類似する。たとえば、フォースとは、シェイクスピアにおける「強く念じ、深く信じることの大切さ」と共通するのではないか。Awake your faith──『冬物語』で言われるこの台詞は、『スター・ウォーズ』をも貫いているように思う。
押韻(ライム)もすべて訳出したので、そのあたりの苦労も楽しんでいただければと思う。(河合祥一郎)
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