新刊紹介 編著/共著 『岩波講座 現代 第7巻 身体と親密圏の変容』

門林岳史、千葉雅也(ほか分担執筆)
大澤真幸(編)『岩波講座 現代 第7巻 身体と親密圏の変容』
岩波書店、2015年12月

本書は『岩波講座 現代』(全9巻、既刊5巻)の第7巻として刊行された。本講座は、かつての『岩波講座 現代』(1963−64年)刊行から約半世紀経過した現在、「現代」と呼ばれる時代感覚がどのように変貌してきたかを、多面的な視点から考察することを目的としている。全9巻で扱うテーマは、グローバル化社会、資本主義経済、宗教、教育、科学技術、情報社会など多岐にわたる。なかでも身体、家族、性といったテーマを扱う本巻は、編者の大澤真幸が序文で「変容の最も鋭敏な部分」と述べているとおり、私たちの日常的な経験にじかに触れるような次元での「現代」という感覚の変容を扱っていると言ってよいだろう。それとともに本巻は、多様な方法論からの論考が集められており、他の巻と比べても特に学際的な内容になっている。収録された論考の内容は、「語る身体」についての文化人類学的考察(菅原和孝)、認知科学から見た「潜在脳」と自由意志の問題(下條信輔)、医学的見地を踏まえた障がいを持つ身体の当事者研究(熊谷晋一郎)、性的役割分業、少子化、国際結婚など多様な観点から見た近代的な「家族」概念の変容(千田有紀、赤川学、高谷幸)、クイアな性の精神分析的解釈(樫村愛子)、性的マイノリティをめぐるテレビ番組の言説分析(風間孝)と多彩である。表象文化論学会会員が執筆した論考としては、千葉雅也「思弁的実在論と無解釈的なもの」、門林岳史「ポストメディア時代の身体と情動──フェリックス・ガタリから情動論的転回へ」が収録されている。(門林岳史)

大澤真幸(編)、門林岳史、千葉雅也(ほか分担執筆)『岩波講座 現代 第7巻 身体と親密圏の変容』岩波書店、2015年12月