新刊紹介 編著/共著 Queer Crossings: Theories, Bodies, Texts

北村紗衣(分担執筆)
Silvia Antosa, ed., Queer Crossings: Theories, Bodies, Texts
Milano: Mimesis, 2012

本書は2010年6月18-19日にかけてパレルモで開催された国際学会‘Queer Crossings: Contemporary Perspectives on Gender and Sexuality’において行われた発表の中から「理論」、「身体」、「テクスト」という3つの主題に即した10本を選んで収録した論文集である。幅広い分野の研究者が集った学会であったため収録論文全てに共通する大きなテーマが存在するわけではないが、編者のシルヴィア・アントサが序文で述べているようにクィア・スタディーズはその性質上「いかなる形の理論的なカテゴリ化をも拒む」(p. 9)学際分野であるため、多分野にわたる論文が収録されていることは必然的な結果と言えるかもしれない。第一部「理論と身体」においては流動性と物質性、人間と動物の区分、生と死の区別を曖昧にするものとしてのゾンビなど、一見確固たるものに見えるカテゴリの境界を問う論文が多数収録されており、これはまさにアントサが述べているような問題意識をよく表すものであろう。第二部「テクスト、メディア、パフォーマンス」はイタリアにおけるクィア研究の動向を手厚くカバーしており、イタリアにおけるホモフォビア、イタリアのテレビ番組におけるクィア表象、ヴィスコンティの映画などを扱った論文が収録されている。(北村紗衣)