新刊紹介 | 単著 | 『中国映画の熱狂的黄金期 改革開放時代における大衆文化のうねり』 |
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劉文兵
『中国映画の熱狂的黄金期 改革開放時代における大衆文化のうねり』
岩波書店、2012年11月
鄧小平が改革開放路線を推進し、今日の中国の経済成長の礎を築いた1980年代は、文化大革命のトラウマからの脱却と、押し寄せる西洋文化の再解釈が、中国社会の課題となった時代でもあった。これらの課題への対処の様相を、当時の中国において製作された映画、および大衆の映画受容のなかにたどる本書は、第五世代監督の名だたる作品群を並べたものとは、また異なる80年代中国映画史像を提供することだろう。第四世代映画監督による「ヌーヴェル・ヴァーグ」、映画検閲制度など、興味深い題材が豊富な一次資料を駆使して語られるほか、ディスコ・ダンス・ブームに端を発する若者たちの新たな身体のあり方や、80年代に登場した女優像(劉暁慶、ジョアン・チェン)について、身体論やジェンダー論を用いた意欲的な議論がなされる。巻頭では「はじめに」として著者が、巻末付録では著者と同年齢のジャ・ジャンク—監督が、80年代における自身の映画体験を語る。(篠儀直子)
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