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『芸術の陰謀 消費社会と現代アート』 |
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クリス・ホロックス
『ボードリヤールなんて知らないよ』
塚原史(訳)、明石書店、2011年8月
原書はChris Horrocks, Introducing Baudrillard (Totem Books, 1996)で、全編をつうじて、ホロックスのテクストがゾラン・ジェヴティックのイラスト中にレイアウトされた、コミック本スタイルのボードリヤール入門です。初版以後現在まで数度版を重ねていますが、1997~2007年(没年)までのボードリヤールの著作への言及はないので、訳者が「その後のボードリヤールQ&A」を追加しました。イギリスの現代思想研究者でメディア論を専攻するらしい著者は、ボードリヤールの仕事を消費社会論からシミュレーション・ハイパーリアリズム論へと、代表作をたどりながら広告、TV、現代アートなど20世紀末のマスカルチャー、マスメディアに与えたその影響を多彩な実例を交えて紹介しており、日本で定着した感のある「社会学者ボードリヤール」を超える新たな思想家としてのイメージが提示されています。そこでは、なんといってもジェヴティックのイラストが効果を上げていて、最終ページのVOID(空虚)と書かれたドアへと大衆や知識人を導く「笛吹き男」ボードリヤールの戯画は秀逸です。「入門」ではありますが、「偶像破壊的な」(著者の表現)書物なので、邦題はあえて意訳しました。(塚原史)
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