荒木悠 LONELY PLANETS
2023年12月9日から2024年3月31日まで、青森県十和田市現代美術館で行われ、真冬の寒さの中でも1万人以上の集客を記録した「荒木悠 LONELY PLANETS」展の公式カタログ。文化の伝播や異文化同士の出会い、そしてその過程で生じる誤訳や誤解の持つ可能性に関心を持ち、美術と映画を越境する映像作品を制作してきた、荒木悠(1985年生まれ)の美術館で開催する初めての個展を記念する、初の作品集でもある。
2009年、東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻に在学中に制作され、大きな反響を呼んだ初期作品《Deep Search (digested version)》から、2023年に青森で制作された《NEW HORIZON》、《SOUTH》、《OOPARTS》、《ミチノオク | interstate》などの新作を含む19点の作品の図版と情報が掲載されており、荒木の作品世界を網羅的に俯瞰できる資料となっている。そして、横浜美術館館長の蔵屋美香が聞き手をつとめた作家とのインタビュー「悠は何しにこの街へ?」を筆頭に、馬定延による「時間の彫刻」、大坂紘一郎による「なめらかなスクリーンとその敵」、ジュリアン・ロスによる「ミスマッチ」、担当学芸員の中川千恵子による「LONELY PLANETSー複数性を持つ主体(たち)の軌跡」という、4本の論考が収録されている。
(馬定延)