編著/共著
現代の皮膚感覚をさぐる 言葉、表象、身体
春風社
2023年3月
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デジタルメディアの普及によるイメージの氾濫、コロナ禍におけるオンラインツールの活用により、現代は圧倒的な視覚優位の時代にある。伝統的な西洋哲学においても、視覚は精神性を持つ感覚として重要視されてきた。哲学的思考の系譜が再検討されるなか、原初的と見なされてきた触覚や皮膚へ着目する研究も生み出されてきたが、手のひらによる能動的な接触がなくても生じるファジーな「皮膚感覚」へ果敢に取り組んだ研究は稀でなかっただろうか。本書は、哲学、音楽、文学、建築、美術、デザイン、ファッション、漫画の八つのジャンルから皮膚感覚へアプローチし、その現代的有り様の読解を試みた論集である。非局所的な痒みの哲学、着心地のレトリック、サーフェスを撫でる映像などの多様な事例と問題が取り上げられるが、身体表面の「皮膚感覚的」な出来事や経験を言語化することの困難と可能性を、執筆陣と共に読者自身も探究することになるだろう。
(平芳裕子)