編著/共著
はじまりのバタイユ 贈与・共同体・アナキズム
法政大学出版局
2023年4月
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バタイユ研究者だけでなく、人文系の異分野の専門家や論客を集めての論集である。テーマも複数掲げていて幅があり、類例のない試みになっている。母体のバタイユがそれだけ多面的な書き手であったことが起爆剤になっているのだろうが、さらに問われるべきは「他を黙らせる(imposer le silence)」専門家の見解、その特権性なのだ。もちろん専門研究は絶対に必要であり、バタイユの原典をしっかり読み込むことは何よりも大切なことなのだ。だがその努力と成果に自足してはならず、常に増殖しだす知の衣を専門家自ら剥ぎ取り、他者から剥ぎ取られることが求められている。コミュニケートを失った研究とは何なのだろうか。本書はそんな研究書の存在様態を考えさせられる論集でもある。
(酒井健)