編著/共著

石田美紀キム・ジュニアン (編著)、鈴木潤ほか(分担執筆)

グローバル・アニメ論 身体/アーカイブ/トランスナショナル

青弓社
2022年12月
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日本で見聞きすることが、アニメのすべてではない。ときどき私はこう自戒する。たしかに、ここではシーズン毎に大量の新作が制作され、キャラクターとのコラボ商品がコンビニに溢れ、美術館にはアニメでお馴染みの声優による音声ガイドが用意されている。日本社会の隅々まで、アニメが浸透しているのは事実だ。だがいっぽうで、アニメは世界中で楽しまれ、土地ごと社会ごとにそれぞれのあり方で根づいている。もちろん、アニメに関する学術研究も、英語、中国語、スペイン語など、さまざまな言語で発表されている。だが、残念なことに、日本にいる私たちはそれを感知していない。これほど残念なことがあるだろうか。

本書の目論見は、海外に生まれ、アニメで育った研究者がこのメディアをどのように捉えているのかを、日本の読者に伝えることである。キャラクターの声や主題歌はどのように現地化されているのか、だれがその仕事を担ってきたのか。アニメ産業は海外のコンテンツ産業といかに競争し、また共闘しているのか。クリエイターが遺したアーカイブからは何がわかるのか、等々。本書に収められた論考が採るアプローチは多様であり、その視野はどこまでも広い。本書を通して、アニメと世界、そして日本の関係を、いま一度考えてもらえたら幸いである。

(石田美紀)

広報委員長:増田展大
広報委員:居村匠、岡本佳子、髙山花子、角尾宣信、福田安佐子、堀切克洋
デザイン:加藤賢策(ラボラトリーズ)・SETENV
2023年6月30日 発行