編著/共著

小田原のどか(編)、金井直、池野絢子、ほか(分担執筆)

彫刻2 彫刻、死語/新しい彫刻

書肆九十九
2022年3月
複数名による共(編/訳)著の場合、会員の方のお名前にアイコン()を表示しています。人数が多い場合には会員の方のお名前のみ記し、「(ほか)」と示します。ご了承ください。

「彫刻、死語」と「新しい彫刻」、この2特集が組まれた本書は、イタリアの彫刻家アルトゥーロ・マルティーニ(1889ー1947年)の著作『彫刻、死語』(1945年)と、アメリカの芸術評論家クレメント・グリーンバーグ(1909ー1994年)の論考「新しい彫刻」(1949年)の全訳とともに、6名の論者による解説論考を収録している。

両特集では、森佳三が担当したマルティーニの翻訳と解説、池野絢子、金井直による寄稿、坂井剛史によるグリーンバーグの翻訳と解題、近藤学、筒井宏樹による寄稿を読むことができる。

マルティーニとグリーンバーグの関連はほとんどないと言っていい。だからこそ、1940年代後半に方や死語であると言われ、方や新しさが強調された彫刻について、翻訳とともに複数の論考によってときほぐすことを企図した。

また、ふたつの特集に加え、「あいちトリエンナーレ2019」における公共と彫刻をめぐる鼎談記事(小松理虔+津田大介+小田原のどか「情の時代の「公共」「彫刻」をめぐって」)、インタビュー(七搦綾乃「彫刻でなければならない」)、現代詩(鈴木一平「忘れる碑」)、クイア理論によって彫刻を批評する特別寄稿(大槻とも恵「核災害後の「未来」の表象と子ども救世主:福島に現れた《サン・チャイルド》像を再考する」)を収録。話題は多岐にわたるが、いずれも彫刻を人と社会の接点として捉える視点を共有している。

本書『彫刻2』は2018年に刊行された『彫刻1』の続編に当たる。『彫刻1』では「この国の彫刻のはじまりへ」「空白の時代、戦時の彫刻」の2特集を組んだ。問題意識は通底している。それは、彫刻はなぜ破壊され続け、なぜつくり続けられるのかを、時代との関わりから探るという態度である。次号『彫刻3』では「複製」を特集する。

(小田原のどか)

広報委員長:増田展大
広報委員:岡本佳子、鯖江秀樹、髙山花子、原島大輔、福田安佐子、堀切克洋
デザイン:加藤賢策(ラボラトリーズ)・SETENV
2022年10月23日 発行