編著/共著
新しいエコロジーとアート 「まごつき期」としての人新世
以文社
2022年5月
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本書は、「人新世」「資本新世」とよばれる新しい環境下で生じてきた自然、 政治、社会、情報、精神面での変化に対する現代美術の応答と変容、そして、これらを伝えるキュラトリアル実践に関して、キュレーター、哲学者、人類学者らによる領域横断的なアンソロジーである。編者である長谷川が東京藝術大学国際創造研究科で招聘したレクチャラーたちの講演記録を含む。
現代美術と密接に関わる「キュラトリアル実践」は一般に考えられるような「展示」にどどまらず、調査、コンテンツ制作、パフォーマンス、ディスカッション、ワークショップ、プラットフォームづくり、出版など多岐にわたる。これらは、事物を用いた関係価値の形成であり、身体感覚を巻き込む視聴触覚媒体を通して、共感と知的生産を促し、パブリックコモンズを出現させる。
また、地球の存在そのものが危ぶまれる「人新世」をダナ・ハラウェイにならって、「まごつき期」と考える本論集では、近年、新たに関心の高まるエコロジー思想と実践に、現代美術(アート)の実践との絡まり合いを読み込む。
今日の「まごつき期」としての「人新世」時代においてエコロジーと現代美術(アート)はいかに応答するのか。国内外の知性とともに、その実践と理論の創造的かつアクチュアルな議論から、「新しいエコロジーとアート」を考える。
(長谷川祐子)