編著/共著
メディアのなかの仏教 近現代の仏教的人間像
勉誠出版
2020年5月
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20世紀に生じたポストグーテンベルク的状況は、宗教という領域へも影響を及ぼし、表象の生成、情報伝達、知識共有のあり方を一変させた。
メディアの多様化は、言語のみならず、図像、映像、音響を通じて、仏教の思想と価値観を受容する環境を創出した。これにより人々は、諸媒体をクロスメディア的に越境する宗教表象へと接し、宗教者や知識人だけではない、幅広い立場の論客と表現者から発信される宗教観を同時代的に共有するという、いままでにない知識と心象の情報ネットワーク空間を構築していくのである。
本書では、そのような近現代のメディアが生成してきた膨大な宗教表象から、ブッダ、宗祖、高僧、民間宗教者、信者といった社会的に生み出される文化的所産としての仏教的人物像に着目し、絵本、新聞、小説、紙芝居、学術書、挿絵、ライトノベル、インターネット、教養書、映画、マンガなどから読みとれる仏教に関連した宗教表象の性質と機能を考察する。
諸媒体を横断していく宗教表象が人々へ呼びかける、同時代的な思想や価値観などのイデオロギーと、時代の世相に応じて創りかえられていく仏教的人間像の再生産を探り、人間が生み出した仏教文化にみられるメディア表象の創造と受容の実態に迫る。
(森覚)