編著/共著
政治において正しいとはどういうことか
勁草書房
2019年4月
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本論集は、本質主義を避け、かつ相対主義に陥らない仕方で、正しさを論じることを試みている。こうした問題関心を「ポスト基礎付け主義」という仕方で共有することで、多様な観点(政治学、教育学、哲学)から政治的正しさという一貫した課題を検討することが可能となった。「ポスト基礎付け主義」とは、「あらゆる規範的主張の根拠が疑問に付されうる現代の状況を前提としつつ、政治理論を考察・構想する一つの態度」を指す。そこでは、何らかの究極的な根拠を求める「基礎付け主義」とあらゆる意味で根拠付けが意味を失ってしまったと考える「反基礎付け主義」との間で、基礎の不確かを受け入れつつなお正しい政治のあり方を探求することが求められる。ポスト基礎付け主義は、ポスト・マルクス主義やアゴニズムといった特定の学派に固有の態度ではない。このことは、本論集の論考が、ポストモダン、プラグマティズム、リベラリズム、批判理論といった多くの理論潮流を参照(もしくは批判)していることから明らかである。正しさを考える上で強いられる「ポスト基礎付け主義」という態度を真摯に受け止め、その先にある規範のあり方を検討した挑戦的論集である。
なお、序章の一部とあとがきがweb上に公開されている。
(田畑真一)