編著/共著
イメージ学の現在 ヴァールブルクから神経系イメージ学へ
東京大学出版会
2019年4月
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本書は、1990年代にドイツ語圏で誕生し、さまざまな分野とのインタラクションを成してきたイメージ学(Bildwissenschaft)の現在を、ドイツと日本、双方の学術的視点から俯瞰し、さまざまなイメージの分析を通して示そうとするものである。その議論は、アビ・ヴァールブルクの『ムネモシュネ・アトラス』に叙述された二重化した歴史経験を皮切りに、写真やアニメーションにおける身体、甲冑の歪みの政治性、GUI、水墨画の滲み、そして天気図やリヒテンベルク図形といった自然科学的イメージと多岐にわたり、これらに表象される「イメージの力」の考察から科学と芸術の境界、そして更には人の知覚の奥深く、神経系へと入り込み、「像行為(Bildakt)」やイメージ発生の根源へと迫る。美術・イメージ史研究の泰斗ホルスト・ブレーデカンプ、神経系美術史の提唱者カール・クラウスベルクそして文芸学・経験美学者ヴィンフリート・メニングハウスらを筆頭に、世代と分野を超えた日独の研究者たちによる最先端の論考が、イメージ学発祥の地ドイツに先駆け日本で編纂されたことは、イメージ学研究の地図における新たな地(知)の誕生を宣言するものである。
(坂本泰宏)