編著/共著
〈自閉症学〉のすすめ オーティズム・スタディーズの時代
ミネルヴァ書房
2019年4月
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本書は、心理学、精神分析、哲学、文化人類学、社会学、法律、文学、生物学、認知科学、政治学、教育学、言語学、芸術論、数学・物理学、当事者研究など一〇以上もの多彩な分野の研究者が集まり、昨今話題となっている「自閉症」について、学際的なアプローチの束としての「自閉症学(Autism Studies)」を提案する野心的な試みを行なっている。Autism Studiesの名称はCultural Studiesに倣ったという。一線級の研究者が集まり、各分野からどのように自閉症を理解できるのかをわかりやすく紹介している。時代の潮流を捉え、社会と学術をつなごうとするアカデミストたちの熱い思いが隅々まで行き渡る。本学会員としては野尻英一が第三章「哲学」を担当し、西洋哲学と自閉症とのねじれた関係を論じる。都内大手書店でのブックフェアも開催され、本年4月発売ながらすでに増刷がかかるなど、書店員、一般読者にも受け入れられており好調。巻末に鼎談「今なぜ自閉症について考えるのか?」(松本卓也、國分功一郎、熊谷晋一郎)や自閉症当事者本リストを掲載するなど付録も充実している。医学的話題を学際的アプローチに開き、広く社会へ向けて提供した一冊。
(野尻英一)