翻訳
新訳 お気に召すまま
KADOKAWA
2018年8月
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私自身が演出を手掛けるKawai Projectのシェイクスピア第3弾となる『お気に召すまま』の公演を2018年9月上演予定で企画して準備していたところ、ちょうど同じ時期に、新橋演舞場で『オセロー』松竹公演(中村芝翫さん=オセロー、檀れいさん=デズデモーナ)を打つので急ぎ新訳を出してほしいという演出家・井上尊晶さんからの依頼があり、連続しての刊行となった。
『お気に召すまま』新訳は、シェイクスピア作品のなかで最も台詞量の多い女性登場人物であるロザリンドの恋愛をしっかりと伝えることと、オーランドーがいつロザリンド/ギャニミードの変装に気づくのかという点に注意して訳した。公演では、ロザリンドに太田緑ロランスさん、オーランドーに玉置玲央さんを迎え、1518人の観客に観て頂き、大きな収穫を得た。
『オセロー』新訳は、最後にオセローがデズデモーナのある台詞の意味を誤解して殺害に及んでしまうのだが、先行訳ではそれが訳出されていなかったので、今回の訳でそれがわかるようにした。その点は画期的であると自負している。
これによって角川文庫から出ている私の新訳はようやく10冊となった。
(河合祥一郎)