編著/共著
オーバー・ザ・シネマ 映画「超」討議
フィルムアート社
2018年3月
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本書は、2015年の7月に武蔵野美術大学美術館・図書館で行われた私(三浦哲哉)と石岡良治との映像講座を発端になされた連続対談+鼎談の記録に加筆を施したものである。本書の最大のテーマは、「ザ・シネマ」という枠組みそれ自体の再検討である。「映画」と「映画ならざるもの」、あるいは良い「映画」とそうでないものを線引きするさまざまな力学を浮かび上がらせつつ、今日にふさわしい仕方で「映画/映像論」を拡張したいという願望があった。人選は以上の問題意識からなされ、「ザ・シネマ」の境界にかかわる領域に通じた研究者を招いた。アート・アニメーションについては土居伸彰、造形芸術や実験映画さらには知覚一般について原理的な考察を展開する平倉圭、ロシア映画を専門とする畠山宗明、アメリカ哲学研究をしつつ「筋肉映画」に造詣の深い入江哲朗である。それぞれに異なる観点、アプローチを持つ論者同士の討論は、予定調和的に「多様性」を称揚する姿勢に陥ることなく、書名をつけるとき念頭に置いたアーム・レスリング映画『オーバー・ザ・トップ』のような白熱性を帯びたと信じている。
(三浦哲哉)