編著/共著
手と足と眼と耳 地域と映像アーカイブをめぐる実践と研究
学文社
2018年3月
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本書は、新潟大学の原田健一を中心として「地域」と「映像」と「アーカイブ」をテーマに共同研究を続けるグループによって書かれた論集の第二弾である。前著『懐かしさは未来とともにやってくる──地域映像アーカイブの理論と実際』(原田健一、石井仁志編、学文社、2013年)では、新潟における地域映像アーカイブを核として、理論から実践に至るトピックを採りあげていたが、今回はより幅広い視点から、地域と映像アーカイブの諸問題に取り組んでいる。
まずはアーカイブのデジタル化の諸問題が論じられ、そして個別事例の検討に入り、さらにアーカイブの実践を誰が担うのかという問題へと進む。そして荻野茂二(1899〜1991)という一人のアマチュア映画作家を採りあげ、複数の論者がそれぞれの視点から分析した最後の部では、共同研究というものの可能性を垣間見せてくれる。
ここに集められた論考は、さまざまな研究領域を横断するもので、トピックも分析手法も多岐にわたるが、本の最後に付されたキーワード集は、バラバラにも見える各論が実は有機的につながっていることを明らかにしてくれる。さまざまな地域でアーカイブのデジタル化が進む状況のただ中で顕在化してきた諸問題を、理論と実践の双方から検討することで、議論のプラットフォームを作り上げていこうとするのが本書の目論見である。
(佐藤守弘)