現代作家アーカイヴ2 自身の創作活動を語る
『現代作家アーカイヴ 自身の創作活動を語る』
第1巻(平野啓一郎、飯田橋文学会編)東京大学出版会
第2巻(武田将明、飯田橋文学会編)東京大学出版会
第3巻(阿部公彦、飯田橋文学会編)東京大学出版会
本書は、飯田橋文学会(平野啓一郎氏を中心とする文学関係者の集まり)が企画した現代作家へのインタヴューの記録であり、高橋源一郎、古井由吉、瀬戸内寂聴(第1巻),谷川俊太郎、横尾忠則、石牟礼道子、筒井康隆(第2巻)、島田雅彦、林京子、黒井千次(第3巻)という、現代日本を代表する文学者・美術作家が自身の作家活動を振り返っている。
紙幅の関係上詳しい紹介はできないが、例えば高橋源一郎へのジャン=リュック・ゴダールの影響、横尾忠則によるジョン・レノンや三島由紀夫の観察、林京子の福島原発事故への意見など、決定的といえる証言がいくつも引き出されている。また、林京子と石牟礼道子のインタヴューについては、結果的に亡くなる前の貴重な姿を収めることとなった。
ただし、本書は決して現代日本文学に詳しい者だけに向けられたものではない。各インタヴューは、作家自身の選んだ代表作三篇を中心に語られているので、これらの作家を未読の人への恰好の読書ガイドとなるようにも編集されている。
なお、飯田橋文学会ではこの後も本アーカイヴ企画を続行している。インタヴューは基本的に一般に公開しているので、参加を希望する方は、飯田橋文学会のホームページから予約できることを申し添えておく。
(武田将明)