編著/共著

西谷修、渡名喜庸哲、ほか(著)

いま、「非戦」を掲げる 西谷修対談集

青土社
2017年12月
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哲学者の西谷修がここ数年に各誌で行なった対談をまとめたもの。『戦争論』から四半世紀、「歴史の終わり」どころか「グローバル化」はいたるところでその新たな相貌を呈している。西谷がその変容をつぶさに追跡し、その都度明瞭に言語化してきたのは周知のとおりだ。「テロとの戦争」のグローバル化と「戦争」概念自体の変容、アメリカを軸とした世界秩序の再編、度重なる「破局」── 「公害」、「ヒロシマ」、「フクシマ」──とそれをうちに取り込み養分として「成長」を鼓舞するわれわれの生きるこの世界……今日まさに考えるべきこれらの主題をめぐって、さまざま領域の論者──政治学者、経済学者、歴史学者、宗教学者、文学研究者、哲学研究者、音楽家、等々──たちとともに西谷が交わした「対談」の記録。それらは、彼の最近の関心の所在を示しているだけでない。もはや「真実」すら揺らぎ出し、「戦争」と「平和」という二項対立すら成り立たなくなったこの「危機の時代」に求められる思考のいくつもの筋道を示してもいるだろう。書斎と路上を往還しながら練り上げられた、閉じずに開かれてゆく思考が、低く鋭い声とともに響いてくる。

(渡名喜庸哲)

広報委員長:横山太郎
広報委員:柿並良佑、白井史人、利根川由奈、原瑠璃彦、増田展大
デザイン:加藤賢策(ラボラトリーズ)・SETENV
2018年6月22日 発行