編著/共著
モダニスト再考 建築の20世紀はここから始まった[海外編]&[国内編]
彰国社
2016年12月
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青と赤のカヴァーも鮮やかなこの二冊は、モダニズム建築を建築家や芸術家など人物単位で再考しようとした論集である。青が海外編で32人、赤が日本編で30人、執筆者も両巻合わせて30人に及ぶ。筆者はオットー・ヴァーグナー、ルドルフ・シュタイナー、チャールズ・レニー・マッキントッシュ、フレデリック・キースラー、そして堀口捨己について執筆している。
シュタイナーが取り上げられていることからもわかる通り、対象の人選は独特だ。書き手もそれぞれの人物について一家言ある論者ばかりであり、その意味でもたんなるカタログにはとどまらない、エッジの効いた論文集と言えるだろう。
もとになったのはいまはなき雑誌『建築文化』が1999年とその翌年に出した特集号。建築論・建築批評がいまだ人文知的な理論や歴史と密接に交流していた時代の産物である。この二冊を満たす言説の熱気はすでに現在アナクロニスムかもしれないが、だからこそ、「モダニズム建築の歴史」という矛盾に満ちた過去に生々しく触れるためには、おそらく最適の媒体となりうるに違いない。
(田中純)