編著/共著
B面がA面にかわるとき [増補版]
鹿島出版会
2016年9月
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本書は、建築家・長坂常の初期のリノベーション建築、《Sayama Flat》と《奥沢の家》を中心とした作品集の増補版であり(初版は2009年)、新たに浅子佳英、門脇耕三、千葉雅也の論考を加えている。評者=千葉の論考「フレーミングとオブジェクト」では、長坂作品における「オブジェクト」の存在を問題にし、その処理の一見したところの「かっこよさ」が抑圧しつつ垣間見せもしている「オブジェクトの不気味さ」を論じている。そのために、グレアム・ハーマンらの「オブジェクト指向存在論 Object-Oriented Ontology: OOO」を援用した。OOOを用いての建築論としては、10+1websiteの2016年12月の特集「建築とオブジェクト」も併せて参照されたい。本書では、与えられたものを部分的に変容させ、再構成する長坂独特のテクニックを通して、建築という存在の根本的な性質が凝縮的に問い直されている。
(千葉雅也)