日時:2011年11月12日(土)13:30―15:30
会場:東京大学駒場キャンパス18号館コラボレーションルーム1
・大橋完太郎(神戸女学院大学)
・田口卓臣(宇都宮大学)
・國分功一郎(高崎経済大学)
司会:宮﨑裕助(新潟大学)
ドゥニ・ディドロは、18世紀フランスを代表する啓蒙思想家として知られている。しかしディドロとは、実のところ百科全書的な体系知の完成者であるどころか、神の恩寵も弁証法的宥和もなき物質世界のうちに、不定形で「怪物的な」自然の秩序を抉り出したラディカルな唯物論者にほかならなかった──このようなディドロ像は、たんなるディドロの定型的解釈を覆すのみならず、まさに、われわれの時代がいまだ根づいている〈啓蒙〉の理念そのものの再検討を迫っているのではないか。本パネルは、このような問題設定のもとに、今年二月に刊行された大橋完太郎氏の力作『ディドロの唯物論』(法政大学出版局)を取り上げ、著者本人、そしてフランス文学・思想を研究する二人の気鋭の論者との討論を通じて、「来たるべき啓蒙のヴィジョン」を透視する。