日時:2006年11月18日(土) 14:00 - 17:00
会場:東京外国語大学府中キャンパス研究講義棟227教室

【パネリスト】
岡崎 乾二郎(美術家・近畿大学)
岡田 温司(京都大学)
小林 康夫(東京大学)
田中 純(東京大学)
和田 忠彦(東京外国語大学)

【司会】
松浦 寿夫(東京外国語大学)

【概要】
昨今の日本の美術界の話題を構成したものが一連の盗作問題であり、また相次ぐ新美術館の開館という出来事であったことは誰もが知っていることである。それは跡形もなく消費されてしまう程度の瑣末な話題にすぎないとも受けとめられかねない。だが、この二つの出来事は、それぞれ異なった仕方であるとはいえ、いずれも、記憶の体制と密接に連関しているとはいえないだろうか。

だとすれば、この遍在的な記憶の体制のもとで、あるいは、この体制とともに、自らの実践を形成していかなければならぬ芸術家の制作行為と、この瑣末な話題も決して無縁ではありえない。また、形式主義的な批評の言説の体系が、歴史的な説明原理との切断とともに自らを組織化する所作をとりながらも、最終的な審級において歴史を統制原理として要請する現実も、また、これらの出来事と無縁ではありえない。

そこで、今回のシンポジュウムでは、今日の諸芸術の制作の場面で、この記憶の体制の作動の局面を複数の声で描き出すことを課題とする。