2024年7月7日(日)13:45-15:45
H号館 H305
記憶と忘却と想起、記憶の共有可能性、場所と記憶といったテーマについては、メモリー・スタディーズの領野で、すでに一定の言説が蓄積されてきた。本ワークショップパネルは、アーティストのサトウアヤコが開発した方法「日常記憶地図」の共同的な実践──実際に手を動かし、自身の記憶を想起し、会場に居合わせた人々で語りあうという経験とその共有──を通して、上掲のテーマ系に新たな視点からの思考をもたらすことを目的としている。
まず、サトウのファシリテーションにより、参加者全員で「日常記憶地図」のワーク(*)を実践する。過去に住んでいた場所の地図を用意し、よく行った場所や日常通った道を赤ペンでなぞり、思い出したことを語り合う。次に、「記憶」をキーワードに文学研究を行う立場から、三村尚央が解説と考察を行う。最後に、参加者全員でディスカッションを実施する。
「日常記憶地図」では、地図が記憶のリリーサーとなり、“弱い記憶”が半ば無意志的に想起される。そこでは、物語のナラティヴを構成する以前の──この点で「証言」ともオーラル・ヒストリーとも少し異なる──場所についての記述が、個人的で断片的な語りとしてやり取りされる。ワークショップ形式により、このプロセスを参加者各々が実際に体験することを通して、“誰か”の記憶について論ずるのでも、記憶にまつわる既存の言説の再解釈でもないやり方で、個別具体的な記憶と場所の結びつきにアプローチしてみたい。
(*)当パネルの参加者には、以下リンク先の指示に従い、「地図」の事前準備をお願いする。当日は5名程度でグループを作り、ワークを実施する。
https://www.evernote.com/shard/s12/sh/b16dc190-9819-08f3-9434-d940c7cd56bd/xx6PmfLulXP0D20uYYHWrhXPBhWjAdR7EUuolnBV502gXa7eikz2ANgAYQ
サトウアヤコ(アーティスト)
三村尚央(千葉工業大学)
小澤京子(和洋女子大学)