日時:2018年7月7日(土)13:30-16:30
場所:瀧川記念学術交流会館2階 大会議室
蘆田裕史(京都精華大学)
平芳裕子(神戸大学)
牧口千夏(京都国立近代美術館)
三浦哲哉(青山学院大学)
司会:門林岳史(関西大学)
20世紀末に始まるファッション研究の興隆とともに、デザイナー論、作品解釈、流行分析を中心とするファッション批評の試みが盛んになった。誰もが関わるファッションを同一の研究対象として取り上げ、多様な方法論と領域横断的なアプローチを包摂するファッション研究はしかしながら、いまだ人文科学において独自の学術分野を成すほどの強度を持つにはいたっていない。近年では美術館においてファッション展が頻繁に開催され、ファッションの文化的価値・社会的意義の生成に多大な役割を果たしている。ところが芸術文化としてのファッションの存在感が増す一方で、ファッションをとりまくアカデミックな環境には閉塞感が漂っている。デザイナーの創造神話、ブランド企業の資本力を前にして、ファッション批評はどこまでクリティカルな言説を展開することができるだろうか? そして巨大資本による産業システム、作家主義的価値観、マーケティングとクリエイティビティの関係、これらファッションをめぐる言説が抱える問題は、映画批評/研究が対峙してきた問題と似通ってはいないだろうか。ファッション批評/研究の困難と可能性を、映画批評/研究の関係性からも照射しつつ、現代のメディア環境における文化産業と批評の実践・研究の遂行をとりまく諸問題を討議する。はたして、ファッション批評は可能なのか?