日時:2006年7月2日(日) 15:30-17:30
会場:東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3
・シミュレーショニズム再考――ジェニー・ホルツァーを中心に/平野千枝子(山梨大学)
・「沈黙」というフィクション――太田省吾の「80年代」/森山直人(京都造形芸術大学)
・子供たちの時間――相米慎二と1980年代日本映画/御園生涼子(東京大学
【司会】大久保譲(埼玉大学)
本パネルは、内外における1980年代文化への関心の高まりを念頭に置きつつ、美術、演劇、映画などの芸術作品を考察することを目標としている。80年代文化はもっぱら「ポストモダン」とともに語られてきた。その記号は、事態のある部分を確実に説明しえたのと同時に、作家のエージェンシーから政治的なプロジェクトにいたる、70年代から継承されてきた諸問題を見えにくくしてしまった。また今日、社会分析の具体例として作品や作家を取り上げる研究が増える一方、作品や作家自体の持つ強度が十分に検討されていないのも否定しがたい事実である。本パネルは、社会的コンテクストや言説のネットワークとの関わりも見すえた上で、いま一度80年代の芸術作品に立ち返り、その多様な実践を検討し直すと同時に、作品を規定するというよりはむしろ作品が生み出したコンテクストやネットワークの新しい配置についても考察を進めていきたい。(パネル構成:大久保譲・加治屋健司(スミソニアンアメリカ美術館))