日時:2010年7月2日(日) 9:30-11:30
会場:東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3

・自己展開するイメージ/柳澤田実(南山大学)
・世界の体系――『百科全書』と普遍知の唯物論/大橋完太郎(東京大学)
・コギトと表象不可能なもの/佐藤吉幸(筑波大学)

【司会】岡田温司(京都大学)


表象の理論には暗黙のヒューマニズムが存在しているのだろうか? 例えばハイデガーにおいては、表象を条件づける主体化の契機は、主体=基体である存在を常に要請しているように見える。そこにおいて問題となるのは、表象の条件としての人間の条件に他ならない。結局のところ、表象システムの分析は常にそれを構成する主体と関わらざるを得ず、それに対する批判も多くの場合、主体と他なるものとの弁証法的関係の記述や、あるいはそれらを「深層から」規定してきたとされる歴史的次元に拘泥することを余儀なくされる。本パネルでは、時代ごとに異なる題材を通じて、表象と主体によって織りなされたある種の共犯関係を批判するための原理的考察を試みる。主体の眼差しが鏡面における鏡像を成立させている、と仮定してみよう。鏡の背後を思考することは、眼差す主体の中心性を相対化する。そこにおいては、表象のシステム自体が、非-人間的な現れとして定義されるかもしれない。(パネル構成:大橋完太郎)